老後資金は投資で増やすべき?

まったく未経験ですが、
老後資金づくりとして
投資をすべきか悩んでいます

長女は昨年、結婚して家を出たため、手狭だったマンションもいくらか広く感じられます。今は、妻と次女と愛犬2匹との平穏な暮らしですが、そんな中、心配なのが老後の備えです。
子育ては数年前に終わり、老後に向けた貯蓄を始めたものの、この低金利でほとんど増えないと言っていいでしょう。
また、年金や退職金にしても、私が手にする頃にはどのくらいになっているのか……。
ならば投資をすべきかと、最近考えているのですが、まったく経験がないため、不安もあります。私のようなビギナーでも老後資金づくりのため、投資を始めた方がいいでしょうか。

投資は「しなければいけない」
ものではない

ペットのワンちゃん2匹、支出から見ても、家族でかわいがっている様子が伝わってきます

2匹とも3歳のヨークシャテリアで、ドッグサロンで毎月念入りに手入れをしています。おかげで毛並みはいつもツヤツヤでまばゆいばかり。家計的には抑えたほうがいいのでしょうけど

貯蓄はできていますし、愛犬の費用はそもそも優先順位が上なのですから(笑)、このままでいいのでは。さて、投資ですが、どんなイメージを持たれていますか?

今までまったく縁がなかったのは、結局損をするという思いがあったからです。ただ、最近は会社の同僚や部下でも投資している人間が増えていて、そんなに避けるものでもないのかなあと

定年の年齢と退職金の額について教えてください

定年は60歳ですが、本人が希望すれば、65歳まで延長できます。給与は6割程度になりますが、そこまでは働くつもりです。それと退職金ですが、現在の支給実績と同じだとすれば、1500万~1600万円くらいでしょうか

住宅ローンは何歳で完済となりますか?

62歳です。ローン残高はまだ1200万円くらいあると思います

わかりました。ご存知のように、投資にはリスクがともないます。したがって、大切なのは投資を〝しなければいけない〟と決めつけないこと。しなくても老後資金が準備できるなら、それでもいいということです。それも踏まえて、H・Yさんにとっての投資の必要性を考えてみましょう

相談者プロフィール

H・Yさん

大阪府在住 

性別
男性
年齢
50歳
職業
会社員

持ち家マンション
家族は、妻48歳、次女22歳の3人。
妻は専業主婦、長女は去年結婚、次女は派遣社員。

MONEY DATA

収入

  • 給与(手取り)36万4000円
  • ボーナス(年間手取り)82万円

月額合計 36万4000円

月間支出

  • 住宅ローン8万5500円
  • 管理費1万6000円
  • 食費5万5000円
  • 水道光熱費2万2000円
  • 車両費(※1)1万5000円
  • 通信費(※2)1万6500円
  • 家族の小遣い4万円
  • 交際費・娯楽費1万2000円
  • 保険料2万2000円
  • 雑費5万円(うちペット費用4万円)

合計 33万4000円

  • ※1 駐車場代、ガソリン代、保険料など
  • ※2 携帯・スマホ代、プロバイダー料金、有料テレビ代など

貯蓄/運用

  • 普通預金10万円
  • 定期預金110万円(ボーナスから年間30万円積立)
  • 一般財形貯蓄282万円(毎月3万円、ボーナス年間20万円積立)

合計 402万円

少額投資で投資に向いているか試してみる

まず知っておきたいのは、H・Yさんが投資をせずに老後資金をどの程度用意できるのかということ。現在の貯蓄ペース、想定できる退職金額などを考慮すれば、少なくとも2000万円は超えると考えられます。もちろん、それで十分とは断言できません。しかし、高齢者の平均収支のデータと照らし合わせれば、「さほど心配する必要のない額」と言えるでしょう。

ただし、公的年金の支給額やインフレなど、老後については不確定要素が多いことも事実。そう考えれば、資金はより多いことが安心につながります。この相談をきかっけとして、まずは普段の生活や家計を見直してみてください。
また、60歳以降に減収することを考えれば、現在の貯蓄の半分ほどを住宅ローンの繰上返済に充ててもいいかもしれません。返済期間短縮型を選択すれば、完済時期が早まるだけでなく、支払う利息も減らせますから、結果的に老後に回せる資金が増やせます。

問題の投資ですが、今の貯蓄ペースで貯められる額を考えれば、無理に投資をする必要性は低いと言えます。しかし、もし今後、インフレが進んだとしたら? お金の価値は目減りしてしまいます。投資はインフレリスクに対応する手段でもあります。また、投資は長期で行うことで損をする確率が下がり、結果としてリターンを得ることが期待できます。その意味では、投資は老後資金づくりに適しているという側面もあるのです。

そこで、まずは試しに少額投資をしてみてはどうでしょう。たとえば10万円を、できれば人に言われた商品を買うのではなく、投資信託でもETFでも個別株でも構いませんので、自分なりに勉強して商品を選んでください。その結果、投資に関心が持てたら、そのまま続けてみる。関心が持てない、あるいは損をすることが耐えられないようなら、無理に続ける必要はありません。

そして、本格的に老後に向けて投資をする場合、自分なりに投資金額の上限を決めて、大きく減っても老後に影響のない「余裕資金」で行うことが重要なポイントです。毎月の貯蓄額から、いくらと決めて積立投資をするのもいいでしょう。退職金など大きな金額を手にすると、つい大きく投資してしまいがち。注意してください。

相談を終えてH・Yさんの感想

「関心が持てる」ことが大事と知りました

投資はリスクがあるので怖いと思う反面、増えるのであればやってみたいという気持ちがありました。
投資は「しなくてはいけない」から始めるのではなく自分が投資に関心を持てるかどうかが大事だとわかり、いろいろ思い悩まずに始められそうです。
愛犬の費用くらいは捻出できることを目標にまずは少額で投資にトライしてみようかと考えています。

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