FPからのメッセージ
相談経験豊富な3人のFPによる、今伝えたい「お金にまつわるメッセージ」。
それぞれの観点から見えてきた「戦略」を、3回にわたってご紹介します。
お金の知識こそ生涯学習!
戦略2:金融経済教育 ~学ぶことで自分の可能性を広げよう~
「長寿の時代にはお金の勉強が必要?」「そもそも、お金の知識って持ってないといけないの?」
なぜ、お金の勉強「金融経済教育」が「人生100年時代」を生きるうえで大切な戦略なのか、CFP®認定者の荻窪輝明氏の話から紐解きます。
金融経済の知識が人生100年時代を豊かにする
人生100年時代。長いですね。
長いですから、健康で、お金に不安がなく、やりたいことがたくさんある100年を過ごすことができたらきっと幸せだろうな、と思います。仕事、家族、お金、生活など、しっかり考えておこう、と思うようになりました。
働く期間も長くなると考えられ、リカレント教育も注目されています。
リカレント教育とは、社会人が学び直すことを指し、働きながら学ぶほか、仕事を休んでしっかり学び直す、といった形もあります。副業や転職に繋がるようなリカレント教育もいいですが、金融経済を学ぶことにも大きな意義があります。
人が豊かに生きるためには、どんな人でもお金を避けて通ることはできません。
学校教育も含めて金融経済の教育は不足していますが、これはお金の話はタブーといった背景も影響しています。「給与明細」や「ねんきん定期便」を正しく読める人も多くはないでしょう。
しかし、家計管理、お金の役割、お金と人生・ライフイベントなど、人生が豊かになるためにお金の知識を身に付けることは重要です。
生活から学ぶ、経験から学ぶ、FP課目を学ぶ
学ぶ、というと身構えてしまいがちですが、お金についての学びには、生活者としての感覚を活かすことが大事だと思います。働くこと、消費することも経済活動であり、日常的な消費行動においても、軽減税率、キャッシュレス決済など、金融経済のトピックがたくさんあります。いつもの生活の中で、経済について「なぜ?」という考える癖をつけるのも楽しいと思います。
家計簿をつける、資産の棚卸をする、証券口座を開く、生命保険を見直す、相続について考えるなど、お金について様々な経験をすることも重要であり、経験は知識や知恵となって身に付きます。多くの会社員の方は年末調整などで税手続きが終了しますが、医療費控除など、確定申告を経験すると税体系が理解しやすく、いい経験になると思います。
AFPやCFP®認定者を目指して体系的に学ぶのもいいことです。
FP課目には、人生に必要な知識が盛り込まれており、資格取得をめざして学んだ知識は貴重な財産になるはずです。日本FP協会が実施する無料のセミナーもありますし、同協会が作成する小冊子でライフプランニングを学ぶこともできます。キャッシュフロー表を作成できるツールも、人生について実践的に考えるために有効なものです。生活者や学校への講師派遣など、一般の方向けのコンテンツも数多くありますので、積極的に活用されるといいでしょう。
お金の知識が人生を設計する力になる
金融経済の知識が身に付くと、自分や家族が人生の岐路においてどういう選択をすればいいか、その判断力が養われるようになり、人生を設計する力が磨かれると思います。
例えば年収を増やすために資格を取得しようと考えた場合、資金を借りてでも早期に取り組むべきか、余裕資金ができるまで待つべきかは、個々の状況などによって異なるはずです。お金の知識があれば、そうした場面において、経済合理性を考えながら人生を考える習慣もできるでしょう。
老後2,000万円不足問題をきっかけに、自助の必要性を感じる方が増えましたが、運用や金融商品に関する知識があればリスクを抑えた資産形成や、不適切な販売や詐欺への防御もできます。人生を自分で切り開いていく力を身に付けるために、金融経済を学ぶことの重要性が増しているのです。
すぐに儲かる、誰でもできるなど、すぐ使えるという印象の情報もありますが、一瞬で得られる知識は、一瞬で消えます。しっかりと身に付けた知識は一生モノであり、人生の知恵と呼んでもいいものです。地道に学び続ける中で、しっかりとした金融経済の基礎知識を体得し、経験をしながら人生に活かすことで、人生はより豊かになり、100年時代を健康に幸せに暮らせると思っています。