ミニコラム:FPと考える”家計戦略”

知っておきたいファイナンシャル・プランニングの基本を、お金について学んでいる金子さんがFPから教わるミニコラムです。ライフステージに合わせて、人生100年時代の観点から「戦略」を考えていきます。
毎月第3金曜日に更新中!

2020年6月号
CFP®認定者 森内 東香

現役世代の資産運用、長期分散積立について

Q:資産運用ってやらなきゃいけないの?
早いうちから将来に向けて資金を準備しておくことが必要。頭ではわかっているけど、実際にはどうすればいいの?と悩む金子さんに、FPがあるキーワードを教えてくれました。

金子さんとは?
出版社勤務の30代。社内異動でこの春から経済誌担当になったもののお金のことはさっぱり…。「人生100年」や「老後資金2,000万円不足問題」をキーワードに取材を重ねる中、自身のお金の知識に不安を感じるように。FPにレクチャーを受けながら、目下お金の勉強中。

 「人生100年時代はリタイアまでに2,000万円の貯蓄が必要」と一時期よく聞こえてきましたが、社会人になって間もない世代でも、「どうやって準備したらいいの?」と不安を抱かれるようです。
 これからは多くの方が資産運用を意識する必要がありますが、投資初心者の方は、まず「長期分散積立」というキーワードを押さえておきましょう。

「長期」的な視点を持つ

 まず一つ目は「長期」。経済は景気循環を続けながら成長していくものであり、長期間運用することで結果的に元本割れ、つまり損する可能性が低くなる傾向があります。
 また、資産運用では「複利効果」といって、運用で得た利益が利益を生む効果もあります。この低金利の時代、預金ではなかなか利息が付きませんが、上手に運用できれば元本と利益をさらに運用してお金を増やすことも可能で、期間が長いほどお得なのです。

「分散」はリスクを軽減するための工夫

 二つ目のワードは「分散」。お金を運用するということは、増やすチャンスがある一方で損するリスクも伴います。そこで大きな損失を避けるための工夫として、「リスク分散」という考え方があります。
 「すべての卵を一つのカゴに盛るな」ということわざもありますが、投資対象を一つに集中するのではなく、さまざまな資産(株、債券、不動産、金など)や、様々な地域(日本、先進国、新興国など)に分けておくことで、一部が値下がりしても他でカバーし大きな損失を抑えようとする方法です。

「積み立て」ながら運用する

 最後は「積立」。資産運用は「多額な資金を元手に利益を出すもの」とイメージされる方もいるかもしれませんが、長期の運用では少額を定期的に積み立てて資産を増やせることも強みです。例えば毎月3万円を積み立てながら運用していくという形です。
 投資では日々の運用商品の値動きで損得を考えてしまうかもしれませんが、お金を使う目標が数十年先であれば、値下がりしても慌てて売る必要はなく、むしろいつもと同じ金額でより多くの運用商品を購入することができ、将来的には有利になります。

最後に

 人生100年と呼ばれる長生き時代には、長期間にわたってお金をコツコツと育てていくことがとても大切です。
 積み立てによる資産運用は、取り組む期間が長ければ長いほど目標金額を達成するための金額は少額で済みます。つまり、早い時期から、日々の生活の中で負担の少ない金額を積立運用していくことが、老後の自分を助けることに繋がります。
 もし100歳まで生きるとしたら、働いて収入を得ることが出来ない期間も長期間にわたります。そのためにもライフプランを立て、それぞれの目的を達成するために、早いうちから資産運用に取り組むことが望まれるでしょう。
 ただし、取り組むには知識も大事です。金融庁のHPで投資の基本的な知識についての読み物やシミュレーションができるページがあるので、参考にするとよいでしょう。
金融庁「投資の基本」
金融庁「資金運用シミュレーション」

  • ※バックナンバーは、原則執筆当時の法令・税制等に基づいて書かれたものをそのまま掲載していますが、一部最新データ等に加筆修正しているものもあります。
  • ※コラムニストは、その当時のFP広報センタースタッフです。本コラムは執筆者個人の見解を掲載したものであり、当協会としての意見・方針等を示すものではありません。
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