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「フラット35」と金消契約について 知っておくと役立つこと
住宅購入の際には、多くの人が住宅ローンを利用しています。住宅ローンは、公的機関や民間金融機関での取扱いのほかに、民間金融機関が住宅金融支援機構と提携して提供する「フラット35」があります。また、住宅ローンを利用するには、借入申込の本審査の承認後に「金銭消費貸借契約(以下、金消契約)」と呼ばれるローン契約を締結する必要がありますが、あまりなじみのない契約のため、手順や注意点などを知らない人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、フラット35の特徴と住宅ローンの金消契約時の確認事項等について解説します。
フラット35の特徴
フラット35は、借入期間が最長35年の全期間固定金利型の住宅ローンです。借入金利と返済額が借入時に確定します。申込者本人またはその親族が居住する新築及び中古住宅の購入資金に利用できますが、住宅金融支援機構が定める一定の技術基準を満たす住宅のみが借入対象となります。ただし、第三者への賃貸目的の物件など投資用物件の取得資金には利用できません。
また、住宅ローンの返済期間中に、借入金の全部または一部を繰上げ返済する場合や、生活状況の変化に応じた月々の返済額の減額、返済期間の延長など、返済方法を変更する場合の手数料はかかりません。
金消契約時の確認事項
金融機関の担当者より、住宅ローンの契約内容や各種手続きについて説明を受けた後、金消契約書をはじめとする必要書類へ署名捺印を行います。金消契約書には、主に以下の事項が記載されています。
・借入に関する重要事項(借入金額、利率、返済期日、返済方法、遅延損害金など)
・返済の延滞や債務者の信用状況の悪化が生じた場合の措置
・不動産に対する抵当権(※)の設定
・不動産の滅失等の場合における追加担保の差し入れ
・不動産の譲渡・賃貸借等の制限
・火災保険への加入 など
※金融機関が土地や建物などの不動産を担保にして、担保物件から優先的に弁済を受けられる権利
金消契約は、住宅ローンの借入契約における最後の手続きとなります。各事項について内容を十分に確認し、分かりにくい点は、その都度説明を受けて理解するようにしましょう。
金消契約時の必要書類など
金消契約時に必要な持ち物は、金融機関やケースによって異なりますが、おおよそ以下のとおりです。書類などに不備があると、当日に契約手続きを進めることができない場合もあるため、必要書類について不安な点は、金融機関の担当者に事前に確認しておくと安心です。
主な必要書類等 | 目的 | 注意点 |
売買契約書(原本) | 売買金額の確認 | 本人確認用書類 (運転免許証・マイナンバーカードなど) |
本人確認 | 有効期限内のもの | 健康保険証 | 勤務先及び 勤続年数の確認 |
実印 | 契約書への捺印 | 印鑑登録証明書登録印と同一のもの | 銀行の届出印 | 自動振替用紙への捺印 | 印鑑登録証明書 | 実印の照合 | 借入日(融資実行日)から3カ月以内に発行されたもの | 住民票 | 世帯確認 | 発行日から3カ月以内のもの | 収入印紙 | 契約書への貼付 | 契約金額によって印紙代が異なる |
※他にも、抵当権設定のための書類や火災保険関係書類などが必要になる場合があります。
まとめ
フラット35は、夢のマイホームを手に入れるための有効な手段ですが、申込要件などをよく確認したうえで利用を検討しましょう。また、住宅ローンの金消契約は、住宅購入後も返済が続く限り関わる契約のため、契約内容や注意点などについて十分に理解を深めておくことが必要です。- ※バックナンバーは、原則執筆当時の法令・税制等に基づいて書かれたものをそのまま掲載していますが、一部最新データ等に加筆修正しているものもあります。
- ※コラムニストは、その当時のFP広報センタースタッフであり、コラムは執筆者個人の見解で執筆したものです。