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資産運用は「ポートフォリオ」で考えよう
2024年1月から新しいNISA制度が始まります。それに向けてより一層資産運用に興味を持つ人が増えそうです。資産運用とは、自分が持っている資産を効率的に増やそうとすることで、資産には、預貯金、債券、株式、土地・建物などの不動産、金やプラチナなどがあります。これから資産運用を始める場合、まずは自分が持っている資産を整理することから始めてみましょう。どんな資産がいくらあるのか、一覧表にしてみるとわかりやすいです。
ポートフォリオとは
一般的にポートフォリオとは、「保有資産の組み合わせ、その明細」のことです。通常、円グラフで表します。自分の資産を100%とし、どの資産のどんな金融商品を何パーセントずつ保有しているかを円グラフにすれば、どんなポートフォリオなのか、一目で確認できます。
ポートフォリオに似た言葉に、アセットアロケーション(資産配分)があります。これはどの資産にどれくらいの割合で投資するかを表したもので、資産運用はこの資産配分を決めることから始めます。なぜなら、どの資産クラス(国内株式や外国債券など)にどんな割合で投資するかは運用結果に与える影響が大きいからです。例えば、私たちの公的年金を管理する、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2020年4月1日から5年間の年金積立金の基本となる資産配分は、国内債券・国内株式・外国債券・外国株式がそれぞれ25%ずつとなっています。実際に年金はこの資産配分で運用されていて、収益率は年率3.59%(2001年度~2022年度)です。
国内債券 | 外国債券 | 国内株式 | 外国株式 | ||
資産構成割合 | 25% | 25% | 25% | 25% | |
乖離許容幅 | 各資産 | ±7% | ±6% | ±8% | ±7% |
債権・株式 | ±11% | ±11% |
出典:「基本ポートフォリオの変更について」年金積立金管理運用独立行政法人
このように1つの資産で運用するのではなく、複数の違った性質・動きの資産に分散することで、全体としてのリスクを抑えた運用ができます。資産分散したうえで、どの金融商品を選択するのが最適かを考えて、自分のポートフォリオを作っていくことが効果的です。
最適なポートフォリオ
資産(商品)をどのように組み合わせるかによって、リスクとリターンは異なります。複数の資産(商品)へ投資した場合、その投資家が選択できるリスク・リターンの組み合わせの中で、投資家の効用(満足度)が最大になるポートフォリオを「最適ポートフォリオ」といいます。同じリスクを取るなら、リターンは最大となる方が、好ましいということです。
リスクが同じポートフォリオがいくつかあれば、その中で期待できるリターンが最も高い組み合わせを選択することが合理的でしょう。どの程度のリスクを取るかを決めて、その中で最も高いリターンが期待できる組み合わせ、最適ポートフォリオを選択して運用します。金融機関によっては、WEBで最適ポートフォリオの診断をしてくれたり、ロボアドバイザーで提案してくれたりするところもありますので、参考にしてみてもいいでしょう。
まとめ
資産運用をするには、年齢や収入、支出、資産の状況などから、どれくらいのリスクを取れるか(リスク許容度)を知ることが大切です。そのうえで、資産配分を決めて、それに当てはめる運用商品を選択し、最適な運用商品の組み合わせ、ポートフォリオを作って運用をします。しかし、元本が保証されていない投資商品は値動きしますから、そのポートフォリオ(配分割合)も変動します。適宜、ポートフォリオを確認し、必要があれば、見直しをしていくことが重要です。
- ※バックナンバーは、原則執筆当時の法令・税制等に基づいて書かれたものをそのまま掲載していますが、一部最新データ等に加筆修正しているものもあります。
- ※コラムニストは、その当時のFP広報センタースタッフであり、コラムは執筆者個人の見解で執筆したものです。