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2023年3月号(2)
資産運用
CFP®認定者 山田 圭子

つみたてNISAとiDeCo、ダブル積立てで資産形成!

 FP相談において「資産形成をしたいですが、NISAとiDeCo、私にはどちらがお勧めですか」と相談されることがよくあります。この2つの制度は似ていて複雑と感じる方も多いようです。どちらも資産形成に有効な制度ですが、内容が異なります。そこで今回は、それぞれの制度の内容を理解して「どちらか一方」ではなく、「両方」を併用して、将来に向けた資産形成をしていくことについて解説します。

つみたてNISAとiDeCoの共通点・相違点

 NISA(少額投資非課税制度)は2024年以降制度が改正されますが、現状、つみたてNISAは、年間40万円まで積立可能で、運用益に対する非課税期間は20年間です。
 一方、iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自営業者・会社員・公務員・専業主婦(夫)などの職業と、会社員の場合は会社の企業年金の状況によって、掛け金の限度額(拠出限度額)が異なります。仮に企業年金のない会社にお勤めの会社員であれば、年間27.6万円(月々2.3万円)まで積立可能です。
 つみたてNISAとiDeCoの共通点は、積み立てながら投資信託で運用ができ、その運用益が非課税になることです。通常、運用益には20.315%の税金がかかるため、非課税のメリットは大きいと言えます。
 次に、相違点です。大きな違いとして、iDeCoは拠出金も非課税(所得控除)になること、そして、60歳までは引き出しができないことです。iDeCoは年金制度で、老後資金を目的としているため、中途での引き出しは原則できません。その点、NISAはいつでも売却して引き出す(換金する)ことができます。

制度を併用して税制メリットをフル活用

 例えば、毎月5万円を積立運用するケースで考えてみましょう。つみたてNISAに月3万円、iDeCoに月2万円ずつに分けて20年間積立とします。
 iDeCoの拠出金が所得控除になる効果は、その人の所得によっても違いますが、所得税・住民税で20%だとして計算すると、iDeCoの月2万円に対して、毎月4,000円(年間4.8万円)になります。20年では96万円の税制メリットがあります。
 このケースで運用利回りが2%だったとすると、「つみたてNISA」「iDeCo」それぞれ20年間積み立てした場合、20年後には以下のような結果になります。

  積立合計額 運用益 非課税効果
つみたてNISA
(月30,000円積立)
8,811,785円 1,611,785円 327,193円
iDeCo
(月20,000円積立)
5,874,471円 1,074,471円 218,118円
合計 14,686,256円 2,686,256円 545,311円

 上記の非課税効果545,311円と先ほど計算したiDeCoの所得控除960,000円を合わせると、税制メリットは全体で1,505,311円になります。そして、20年後は14,686,256円の資産形成ができていることになります。
※金融中央広報委員会HP「積立合計額シミュレーション」を利用して以下の条件にて試算。
毎月積立額20,000円・30,000円 / 利率2% / 積立期間20年 / 利息計算方法1カ月

まとめ

 2024年以降はNISAが拡充され、投資枠が増えることで資産形成できる額も大きくなります。いつでも換金できるメリットも活かし、長期的な教育費の準備の1つとして有効と言えます。また、iDeCoは60歳まで引き出すことができませんが、自然と老後資金の一部を形成できると考えればメリットでもあります。
 一方で、投資信託には元本保証がありません。ライフプランを基本に、無理なく長い目で運用できる金額を積み立てていくようにしましょう。

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